先日「日本語と英語の音感覚の差」というYouTubeライブをやりました。
どんな話か想像つきますか?
英語の音感覚を体得するのにとっても重要な話になっていますので、ぜひご覧くださいね!
さて、早速本題です。
日本語は文字一つに対して一つの音がついていますね。そして、英語は子音と母音二つで一個。
以前、こちらのブログでご説明した『#12 interesting の発音は「インタレスティング」ではありません!』を思い出してください。
アルファベットばかりで書く言語にはsyllableという感覚があるというお話でした。
とはいえ、「音節の数だけ音がある」という認識で英語ネイティブの人たちは発音しているか?というとsyllableは意識していないはずなんです。
日本人だって日本語の「が」は「鼻濁音だ」とか意識して話すことなんて、それを仕事にしている人でなければないはずですよね。
そう、どちらのネイティブも無意識に音数の違いを発音しているのです。
では、具体的に発音してみましょう。
例題です。
Dogs chase cats.
手を叩いてリズムを取ってみてください。リズムは三つ、ですね。
では、これはどうでしょう。
The dogs chase the cats.
そう、リズムは同じ三つです。
では、これは?
The dogs are all chasing the cats.
全部同じでしたね!手を叩いてカウントしたリズムは三つでした。
これが、英語が英語たる点なのです。
wordに予算を付けてみましょう、というお話です。
時間予算を「長さ」、エネルギー予算を「音の強弱」と捉えてみてください。
日本語は一つの文字にそれぞれの予算という感覚がなく、同じです。同じ長さ、同じ強さで「あ・り・が・と・う」と発音します。日本語はこんなに平等なのに、英語は不平等。音ごとに時間もエネルギーもかけられない場合が出てきます。
というわけで、今回はEMINEMの”lose yourself” を例に時間予算とエネルギー予算のかけ方を見ていきます。
ラップは特に、一つのビートの中に当てはめていかないといけないわけで、音数が崩れると曲がグチャグチャになります。予算を均等に配分したのでは間に合わない、リズムに乗れないわけです。
「それはラップだからでしょ?」と思ったあなた。
いえいえ、実は、普段の喋りも同じ予算配分なんです!
決して、早口で喋るということではないんですね。発音はしているけどたっぷり長さを取らなかったり、韻を踏んでいるところは強く言ったりして、無意識に予算を配分しているのです。
日本人の英語がカタカナ英語になるのは、この点が一番大きな原因になっています。聞き手からすると何語あったかわからなくて、さっぱり聞き取れないのです。
いろいろな外国人の英語を聞いている通訳者でも(非日本語母語)なまってもいない、一つ一つの音は下手ではないのに、日本人の英語だけが聞き取れないのは、語数が把握できないという理由からなのです。
それでは実際にEMINEMの”lose yourself”で見てみましょう。
予算が高いword=赤
予算をかけられないword(低予算)=青
韻を踏んでいるword=黃
Yo
His palms are sweaty,
knees weak, arms are heavy
There’s vomit on his sweater already, →Point! 単語の数が増えているのに同じ数で言わないといけない
mom’s spaghetti
He’s nervous,<息継ぎ>
but on the surface →Point! つづりはぜんぜん違うのに、発音記号は同じ
he looks calms and ready
To drop bombs,<息継ぎ>but he keeps on forgettin’ →Point! 12語くらい一息でしゃべる
What he wrote down, the whole crowd goes so loud ↓Point! ここからすべての節、文に韻を踏んでいる(計8個)
He opens his mouth, but the words won’t come out
<息継ぎ>
He’s chokin’, how,
everybody’s jokin’ now
The clocks run out,
times up, over, blaow<息継ぎ> →Point! センスが良い。
映画『8マイル』、その時のランプバトルの汗をかくシーンのこと。
蘇る ラップファンじゃないのに素晴らしいとおもう
― ここから息継ぎが超難しい ―
Snap
back to reality,
Ope there goes gravity
Ope , there goes Rabbit, he →Point! hの音は落ちる。
Rabbit=映画の中の通称。(黒人の中で白人のラッパーだから)
choked. He’s so mad, but he
won’t give up that easy?
No, he won’t have it, he
knows his whole back’s these ropes<息継ぎ>
It don’t matter, he’s dope, →Point! 本当はdoesn'tですが、カジュアルさを出しつつ、don'tにすることで上下との韻を踏ませています。
he knows that, but he’s broke
he’s so stagnant, he knows,
when he goes back to this mobile home,
that’s when it’s <息継ぎ>back to the lab again,
yo, this whole rhapsody
better go capture this moment
and hope it don’t pass him →Point! 字余りで難しい
―サビ―
You better lose yourself in the music, the moment →Point! 下線部はリエゾンする部分。完璧にしないと歌えない
You own it, you better never let it go
You only get one shot, do not miss your chance to blow
This opportunity comes once in a lifetime
曲を流しながら歌詞を追ってみると、いかがだったでしょうか。
全部韻を踏んでいてすごいね!映画のストーリーにも重なってすごいね!だけではありません。
音が揃っていると、耳につくから刺さります!耳に、心に響く作品になりますよね。
さらに、EMINEMは一つ一つの子音をおろそかにせず、しっかり入れてくるのでキレッキレに聞こえます。強いwordにものすごく予算をつけるわけです。
ラップを歌う時に限りません。
英語を喋る時も同じ。踏み込んでやるようにして、息をしっかり使って、ためていくと変わってきます。
あなたの英語が生まれ変わりますよ!
【視聴者さんのコメントにお答えします!】
◆長年の日本語ネイティブが英語ネイティブの音感覚、リズム感を本当に体得できるのか興味があります。
→できます!!できますよ。私ができたんだもの!!
◆とても明快で感動しました。このあと、EMINEMのこの曲をじっくり聞くのが楽しみです。
→ぜひやってみてください!wordへの予算のかけ方と韻を意識して、リズムに合わせる。最初は色付けしたところだけを発音してみることから始めるとよいです。そして、いずれすべてのwordを入れて歌えるようにしましょう。
細かい注意点はぜひYouTubeで確認してみてくださいね。
◆リエさんのこのカラフルな歌詞+発音記号のコピーを見ながら曲を練習したいです。
→今回ライブでこの内容を配信しましたので、音源も後ほどご自身で確認して頂く形となりました。
このブログ内に歌詞と色付けは大まかに行いましたが、ぜひ、YouTubeのアーカイブを止めたり進めたりしながら、歌詞と発音記号をご自身で書き出してみてください。
今回、韻が並ぶように変な区切り方をしている箇所があります。ネット上から拾える「詩」を持ってきても、リズムとして十分に把握できないことがあるかもしれないな、と思っています。ご自身の手で書き出すこと、試しにやってみてくださいね。
ここには書ききれないほどの発音ポイントとEMINEMエピソードが満載のYouTubeとなりました。ぜひ、平松里英チャンネルに遊びに来てくださいね!
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